お母さまが転倒されたとのこと、とても心配な状況だと思います。
大腿骨転子部骨折のリハビリは「いつの時期か」「手術をしたかどうか」で内容が大きく変わりますが、一般的な流れと、ご家族としてサポートしやすいポイントをお伝えします。
※以下はあくまで一般論です。実際には「主治医・リハビリ担当(PT/OT)の指示」が最優先です。必ず確認しながら行ってください。
1. まず確認してほしいこと
- 手術はしましたか?
- 多くは「骨接合術(スクリューやプレート)」「人工骨頭置換術」などの手術を行います。
- 術後何日目ですか?
- 術後すぐ/1〜2週間/1〜3か月…でやることが変わります。
- 主治医から
- 「どこまで体重をかけてよいか(全荷重・部分荷重・免荷)」
- 「してはいけない動き」
を必ず確認してください。
この2点でリハビリの“強さ”と“内容”が決まります。
2. 時期別のリハビリの大まかな目標
① 術後〜1〜2週間くらい(急性期)
目標:
- 合併症(肺炎・血栓・筋力低下・認知機能低下)を防ぐ
- 痛みをコントロールしながら、できるだけ早く「起きる・座る・立つ・歩く」を始める
主に行うこと(病院で)
- 足首の運動(足首を上下に動かす:血栓予防)
- ベッド上での股関節・膝の曲げ伸ばし(痛みの範囲で)
- ベッドからの起き上がり練習
- 立ち上がり練習(手すり・歩行器・平行棒など)
- 歩行練習(歩行器や杖を使って)
ご家族ができるサポート
- 無理に動かさない(痛みが強い動きはNG)
- 医師・PTの指示を一緒に聞き、何をどこまでしてよいか把握する
- ベッド周りを整理し、転倒しない環境づくり
- 水分・食事をしっかり摂れるようサポート(筋力・骨の回復に重要)
② 退院前後〜3か月くらいまで(回復期)
目標:
- 杖や歩行器を使って安全に歩ける
- トイレ・お風呂・着替えなど日常生活をできるだけ自分で行える
- 再転倒を防ぐための筋力・バランスをつける
主なリハビリ内容
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股関節・膝・足首の可動域訓練
- 仰向けで膝を曲げ伸ばし
- 仰向けで足を左右に開く・閉じる(股関節の外転・内転:痛みの範囲で)
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筋力トレーニング(痛みの範囲で)
- 大腿四頭筋(太ももの前)
- 仰向けで膝の下にタオルを入れ、膝を押しつけて太ももに力を入れる
- 臀筋(お尻)
- 立位での体重移動練習(左右にゆっくり重心を移す)
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歩行練習
- 歩行器 → 4点杖 → T字杖 → 杖なしへ(主治医の許可と筋力・バランス次第)
- 歩幅を小さく、ゆっくり、転倒しないことを最優先
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日常生活動作(ADL)の練習
- トイレ動作、椅子からの立ち座り
- 台所での立位保持
- お風呂・着替えの動作(必要なら手すりやシャワーチェアを導入)
ご家族ができるサポート
- 家の中の段差・滑りやすいマット・コード類を減らす
- トイレ・浴室に手すり、滑り止めマットを検討
- 椅子は「座面が高め・肘掛けあり・安定したもの」を用意
- 「急がせない」「一人で無理をさせない」ことを徹底
③ 3か月以降(維持・再発予防期)
目標:
- できるだけ元の生活レベルに近づける
- 再転倒・再骨折を防ぐ
行うとよいこと(医師の許可がある前提)
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継続的な筋力トレーニング
- 椅子からの立ち座りをゆっくり繰り返す(スクワットの代わり)
- 立位でのかかと上げ・つま先上げ
- 片脚立ち(必ずつかまる場所を確保して、数秒から)
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バランス訓練
- 両足をそろえて立つ → 足を前後にずらして立つ → 片脚立ちへと段階的に
- 転倒リスクが高い場合は必ずPT指導のもとで
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屋外歩行の練習
- 平坦な道 → ゆるい坂 → 段差・階段へと段階的に
- 必ず杖や手すりを使い、安全第一で
3. 絶対に気をつけてほしいポイント
- 「痛みが強くなる動き」「翌日まで痛みが残るような負荷」は避ける
- 主治医から「体重をかけてよい」と言われるまでは、勝手に荷重を増やさない
- 転倒は絶対に避ける(再骨折のリスクが非常に高い)
- 認知症傾向がある場合、夜間の徘徊・トイレ動作など特に注意
- 骨粗鬆症の治療(薬・栄養・運動)も並行して行うと再骨折予防に有効
4. 具体的に「今」何をすればいいか
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まず
- 手術の有無
- 術後何日目か
- 主治医から「どこまで動いてよいか」「どれくらい体重をかけてよいか」
を確認してください。
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そのうえで、
- 病院の理学療法士・作業療法士に「家でできる運動メニュー」を紙や動画で出してもらう
- ご家族はそのメニューを一緒に確認し、やり方を覚える
ことが最も安全で効果的です。
もし
- 手術の種類
- 現在の術後日数
- お母さまの年齢・普段の歩行レベル(杖使用の有無など)
- 現在の痛みの程度
などを教えていただければ、その条件に合わせて、もう少し具体的な「自宅でのリハビリ例」をお伝えできます。
なお、ここでの説明は一般的な医療情報であり、お母さま個人の診断・治療方針を決めるものではありません。必ず主治医・リハビリ専門職の指示を優先してください。